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報告1 「ママレボ」/ここカフェ@川越(福島原発事故避難者交流会)

「ママレボ」/ここカフェ@川越(避難者交流会) 伊藤千亜

原発事故子ども・被災者支援法の行方

福島避難支援報告

 「原発事故子ども・被災者支援法」は2012年6月の国会にて全会一致で成立した議員立法です。「低線量被ばくによる人体への影響は分からない」ということを認め、居住・避難・帰還それぞれを、国の責任でサポートしていく、という画期的な内容です。原発事故により放出された放射性物質は市町村の境で止まるわけでもなく、県境で止まるわけでもありません。国が指定した「避難指示区域」の外にも福島県以外にも、ホットスポットと呼ばれる線量の高い地域が、たくさんあります。そういった「避難指示区域」に指定されなかった地域から、自費で避難をした人も、たくさんいました。

 そういった避難指示区域外の人たち(自費で避難をした人や、或いは、今後これから避難したい人)に対しても、この法律の力で、国による「被ばくをさけるためのサポート」が行われるようになるのではないかと、多くの人が期待を寄せました。

 しかし、「原発事故子ども・被災者支援法」には、いくつか問題がありました。それは、「基本方針/支援対象地域を国が決める」ということ。そして「財源がない」ということ。政府は、それをいいことに、1年2ヶ月、この法律を放置しました。(その間、復興庁の元参事官による暴言事件なども起きました。) 被災者の思いは踏みにじられ続けましたが、それでも、この法律による具体的施策が行われるよう、多くの人が各自治体に請願や陳情を出し、地元国会議員に働きかけるなど、あきらめず、思いを伝え続けていました。2013年8月22日には子ども・被災者支援法の早期具体化を求める裁判が,東京地方裁判所にて提起されました。

 その提訴の8日後、2013年8月30日に政府は「支援対象地域」と「基本方針案」を発表しました。しかし、その内容は1年以上待たされた被災者を失望させるものでした。

 支援対象地域は、福島県内の33市町村にとどまりました。また、基本方針案はすでに実施されている「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」の上塗りであること・帰還のサポートばかりすすめる内容であることから、「原発事故子ども・被災者支援法」の理念を全く無視したものとなっています。

 政府の「基本方針案」発表以降、各地でその内容に対する反対運動が行われています。パブリックコメントも9月13日まで募集していますが、その期間が短すぎる点も問題です。

 以前、「原発事故子ども・被災者支援法」の勉強会で、「チェルノブイリ法も、長い年月をかけて育てられた法律なので、あきらめてはいけない」と、講師の尾谷恒治弁護士が話してくださいました。今後も、「原発事故子ども・被災者支援法」の行方を見守り続け、子どもたち、被災者のためになる法律になるよう働き続けたいと思います。