"平和の原点"を見つめ、この地球から核と戦争をなくしましょう。
このサイトは、埼玉県坂戸市で毎年行われる「ヒロシマ市民の描いた原爆絵画展」の記録を掲載しています。
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「想像力」がキーワードに

埼玉教職員組合 武井誠

 19人の小中学生、2人の若者ボランティア、そして埼玉教祖から2人の中学校教員。計23人で結成された「第11回ヒロシマに学ぶ埼玉子ども代表団」の取り組みは、今年も成功のうちに終了することができました。

 今年の引率ボランティアの大石さん、上村さんは共に二十歳。第3回子ども代表団に参加したあるOGの推薦で参加し、初めて8月6日のヒロシマを訪れました。体力的に衰えを感じ始めている「おじさん」引率者の岩崎さんと私をよくカバーし、会計係や子どもたちの世話など、実によくやってくれました。何よりも、豊かな想像力を持ってヒロシマと真剣に向き合い、学んでくれました。その姿勢に影響されたこともあるのでしょうか、19人の子どもたちも実によく頑張りました。子どもらしい「わんぱくさ」を発揮しつつも、学ぶべき場面ではしっかりと取り組み、仲間と支え合い、路面電車の中ではすすんでお年寄りに席を譲り、私と岩崎さんは、そんなすがたに何度も感動させられました。

 子どもたちの感想文にしばしば登場する「想像力」という言葉は、初日に、原爆ドーム前で私がその大切さを訴えたものです。しっかり受け止めてくれた参加者のみなさんに敬意を表すると共に、最終日の「まとめの会」で、岩崎さんが発言した「世界中の人の想像力がまだまだ不足しているから核兵器がなくならないのだ。」という指摘も忘れないでほしいです。

 8月6日、平和記念式典の平和宣言で秋葉広島市長は、2005年8月9日までを「記憶と行動の1年」とすることを訴えました。風化させてはならない被爆体験を、なんとしても語り伝え、核兵器廃絶(具体的目標は2020年)の行動に結びつけようという呼びかけでした。私たちには「想像力」を働かせながら、この訴えに応えていく責務があると感じています。

 同じ6日未明、広島県教職員組合の所有する宿泊施設に何者かが銃弾を撃ち込みました。幸い宿泊者にけがはなかったのですが、卑劣な行為に強い憤りを覚え、また、こういうことに対する怒りの感覚が麻痺しつつある日本社会に危機感を感じます。しかし、だからこそ、この子ども代表団の取り組みの持つ重要性は、かつてないほど高まっていると思います。引率ボランティアの上村さんは感想文の結びとしてこう記しています。「被爆者の方々が口々におっしゃる『こんな思いを、もう誰にもさせたくない』という願いを引き継いでいくのは私たちや子供たちなのです。」 私は「ここに希望がある」と感じました。