"平和の原点"を見つめ、この地球から核と戦争をなくしましょう。
このサイトは、埼玉県坂戸市で毎年行われる「ヒロシマ市民の描いた原爆絵画展」の記録を掲載しています。
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アピール(第11回原爆絵画展を終えて)

原爆絵画展西部実行委員 熊谷憲治

原爆ドーム

今また、さらに「ノーモア核!」の訴えを

 1945年8月6日、言語を絶する被爆の恐怖と苦しみ、その自らの体験をもとに広島市民が描いてくれた2千数百枚の絵、私たちは毎年夏、お借りしたこれらの貴重な絵を中心に原爆と戦争の被害に関する展示を通して、核兵器の恐ろしさ、残虐さ、戦争の理不尽さと核の廃絶をささやかながら訴えてきました。今年は、広島と長崎の原爆惨禍の年から58回目の夏を迎え、被爆者はもちろん、世界中で核廃絶を願い求める人々はあの残虐な被爆の歴史事実を風化させてはならないと懸命に運動を続けてきました。

 しかし一方、戦争と核廃絶を希求する人々とは反対の極にいる世界や日本の権力者達、彼らは風化どころかその逆の方向、つま、核兵器による威嚇と戦争の政策を露骨に進めています。とくにここ数年、この動きはひどくなっています。アフガン・イラクへの先制攻撃、過大に煽られた北朝鮮の危機、国内では1999年の周辺事態法、その後の有事法制、イラク特措法等、実質的に海外でも戦争ができる法案の強引な成立などなど。イラクでは、1991年の湾岸戦争で実際に放射能をまき散らす劣化ウラン弾が通常兵器として使用され、イラク市民や米兵にまで深刻な放射能被害を与えております。しかも、今回のイラク戦争ではそれをさらに1.7倍も上回る多量の劣化ウラン弾が撃ち込まれ、その放射能被害は今後長くイラクとその周辺の人々を塗炭の苦しみと死に陥れるでしょう。世界各地であれほど広範な人々からあがった反対の声をよそに日本政府はこのイラク先制攻撃を支持したのです。

 さらに驚き悲しむべきことに、世界最強の軍事力を持つ米国首脳は自分たちの気に入らない相手を地域限定的に殲滅させるために小型核兵器を開発し、核兵器による先制攻撃も辞さないと公言しています。まさに核による残酷と恐怖の暗黒世界の到来です。

 58年前のヒロシマ・ナガサキは決して過去のことではないのです。「過去を見つめようとしない者は現在・未来に対しても盲目となる。」という元西独大統領ワイツゼッカーさんの言葉を私たちは今一度深くかみしめようではありませんか。その意味では、この展示会に足を運び、熱心に参加され、ご意見・感想を寄せてくださった方々や平和学習の課題を持って会場を訪れた数十名もの高校生のような若い世代にお会いして希望と心強さを感じます。広島で被爆後も芽吹いてけなげに育っているアオギリ2世のように。

 今こそ、いや今後もますます強く、多く、ノーモア核! ノーモア戦争! の声を・・・。

 今回で11回目のこの企画を実施してこれたのも、遠くは広島市をはじめ、地元坂戸市及び周辺の市町村や県、内外の各団体、組織そして心ある多くの個人の方々のご支援とご協力によるものと実行委員一同、厚く感謝しております。