"平和の原点"を見つめ、この地球から核と戦争をなくしましょう。
このサイトは、埼玉県坂戸市で毎年行われる「ヒロシマ市民の描いた原爆絵画展」の記録を掲載しています。
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アピール(第7回原爆絵画展を終えて)

原爆絵画展西部実行委員会代表 川崎正司

 今年の原爆絵画展は、被爆54周年に当たり、当地区での開催も7回目となりました。昨年は5月に、インドとパキスタンによる相次いでの核実験が強行され、各廃絶を願い平和を希求する人々に大きな怒りと不安を与えた中での原爆展でした。今年は、各地での民族紛争、なかんずくユーゴ紛争解決のために、NATO軍による空爆がクローズアップされました。紛争は、一応終結されたものの、結果としてこの争いは、勝者も敗者もなく、すべてが敗者であるという見方さえあるようです。ユーゴ軍を制圧するために核兵器の使用が取り沙汰されたとか、空恐ろしいことです。紛争が終わった後に平和が訪れるどころか、民族間の対立と憎悪が増幅されてしまったようです。

 国内では5月にガイドライン関連法が成立し、戦前に回帰する思いを強くする中、第145国会の会期末が近づく頃、国民の世論を無視して、国旗・国家・通信傍受(盗聴)法・改正住民基本台帳法といった重要な法律を、政府・与党は「数」を頼みに強引に成立させてしまいました。歴史に汚点を残す年にしてしまったのではないでしょうか。

 本年の原爆絵画展は、内外の情勢が揺れ動く中での開催でした。6月20日の朝日歌壇に「国旗国家周辺事態盗聴法 津波くろぐろと 背後に迫る」という一首がありました。黒々とした津波は、既に法制化されてしまい、今後国民にどのような影響を与えることになるのでしょうか。このような危機的な状況だからこそ、これから先一層原爆絵画展を継続し、発展させたいものです。そして、平和憲法の精神を高揚し、平和の達成のために英知を結集させようではありませんか。

 期間中400人以上の方にご来場頂きました。特に2日目の午後のイベントには、約100人の方が参加され、冷房の温度が上がるほどの盛況でした。用意した椅子も満席で、会場がいま少し広ければと、主催者をあわてさせる程でした。

 私たちは、熱い思いで感想文を書いて下さった大勢の方々の声、会場に足を運び、原爆の惨状を脳裏に焼き付けて帰られた方、また、協賛金に御協力頂きこの会の運営を支えて下さった方、など大勢の方々との交流を深め、そして、みなさんに励まされながら、平和の輪をすこしでも広げる作業に取り組みたいと思います。

 近隣の市町村におかれましては、この催しに対し後援を快諾くださいましたことにお礼申し上げます。力量不足のため何かと不行届の点もありましたことを反省し、次回に向けて励みますので変わらぬご指導・ご支援をお願い致します。

 多くの方々のお力添えで今年度の絵画展が大過なく終了しましたことを報告申し上げ、お礼にかえさせて頂きます。